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2009-04-28

むか?し、むかし

お仏壇が出てくる昔話をご紹介します。

「ネズミ経」 (福娘童話集より)

昔むかし、ある山の中に、ひとりのおばあさんが住んでいました。
 おばあさんは、たいへん仏さまを大事にしていましたので、毎日毎晩、仏だんの前で手を合わせましたが、お経のことばを知りません。
 あるとき、ひとりの坊さんがやってきていいました。
「道に迷って困っています。どうか一晩泊めてください」
「ああ、いいですとも」
 おばあさんは、坊さんを親切にもてなしましたが、ふと、気がついていいました。
「お願いです。どうか、お経のことばを教えてください」
 ところが、この坊さんは、なまけ者で、お経のことばを知りませんでした。
 でも、坊さんのくせにお経を知らないともいえないので、しかたなしに仏だんの前にすわると、なんといおうかと、考えました。
 すると、目の前の壁の穴から、ねずみが一匹顔を出しました。
 そこで坊さんは、
「ねずみが一匹顔出したあー」
と、お経の節をつけていいました。
 すると今度は、二匹のねずみが穴から顔を出したので、
「今度は、二匹顔出したあー」
と、坊さんは、いいました。
 さて、つぎになんといおうかなと、考えていると。
 三匹のねずみが穴から顔を出して、こちらを見ています。
 そこで坊さんは、
「つぎには、三匹顔出したあー」
 大きな声でいうと、三匹のねずみは、びっくりして穴から逃げ出しました。
 そこで、
「それから、みんな逃げ出したあー」
 坊さんはそういって、ちーんと鐘を鳴らしていいました。
「お経は、これでおしまいです。すこし変わったお経ですが、大変ありがたいお経です。毎日、今のようにいえばいいのです」
 おばあさんは、すっかり喜んで、それから毎朝毎晩、
「ねずみが一匹顔出したあー。今度は二匹顔出したあー。つぎには、三匹顔出したあー。それから、みんな逃げ出したあー」
と、お経をあげました。
 ある晩、三人のどろぼうが、こっそり、おばあさんの家に、しのびこみました。
 ちょうど、おばあさんが、仏だんの前でお経をあげているときでした。
「あの、ばあさん、なにをしているのかな」
 ひとりのどろぼうが、おばあさんの後ろのしょうじから、そっと、顔を出すと、
「ねずみが、一匹顔出したあー」
 おばあさんが、大声でいいました。
「あれっ、おれのことをいってるのかな」
「なにを、ぶつぶつ、いってるんだい」
 もうひとりのどろぼうが、顔を出すと、
「今度は、二匹顔出したあー」
 おばあさんが、また、大きな声でいいました。
「やっぱり、おれたちのことを、いってるみたいだぞ」
「どれどれ」
 三人めのどろぼうが顔を出すと、
「つぎには、三匹顔出したあー」
 また、おばあさんの声がしました。
「うへえっ、あのおばあさん、後ろに目がついているんだ。こわい、こわい」
 三人のどろぼうは、びっくりして、あわてて逃げ出しました。
 そんなことは知らないおばあさんは、また、
「それから、みんな逃げ出したあー」
と、大声でいうと、ちーんと鐘を鳴らして、仏だんに手を合わせました。

おしまい


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No title

可愛いお話ですねv-350
でも唱えることは何であれお仏壇の前で手を合わせる事はいいことみたいだねv-353ぽくぽくチ~ンv-339
私も手を合わせる姿v-421自然と子供に伝えれたらいいなぁv-511v-345

見つけた

仏教カテゴリーでたまたま発見。
いつからブログをって2008年10月からですか。
気づきませんでした。
お元気そうですね。
まだ、全部読んでいないので、遡って読みに行ってきます。
何か良い情報があれば教えてくださあい。
勝手に転載したりして。
こちらはブログネタ探しが大変 かな?
仕事は楽しんでおります。
では、また来ます。
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